この章では、何切るを考えるための「共通の物差し」を4つ紹介します。シャンテン数・受け入れ・基本形・5ブロック。ここが分かると、どの解説を読んでも迷わなくなります。
1. シャンテン数 — あと何枚でテンパイか
結論: シャンテン数とは「テンパイまであと何回、有効牌を引けばよいか」を表す数です。テンパイ(あと1枚で和了)は0シャンテン、そこから1つ遠いと1シャンテン(一向聴)、2つ遠いと2シャンテン、という具合です。数が小さいほど、和了に近づきます。
たとえば次はテンパイ(0シャンテン)です。あと1枚 か を引けば和了です。
が / のどちらでも順子になるので、これを「両面(リャンメン)待ち」と呼びます。
次は1シャンテン(一向聴)。孤立した (中)を切れば、あと有効牌1枚でテンパイに届きます。
何切るの第一原則は「シャンテン数を悪化させない」こと。同じ手牌でも、切る牌によってテンパイが遠のくことがあります。まずはシャンテンを保つ(できれば進める)打牌を選ぶ。これが出発点です。
中級のポイント:シャンテンは「固定値」ではない実戦
シャンテン数は形だけで決まる静的な値に見えますが、強いプレイヤーや麻雀AIは「見えている牌・山に残っている牌」と一緒に読みます。理論上はテンパイに近くても、必要な牌がすでに場に全部見えていれば、その形の価値は下がります。「同じ1シャンテンでも、どちらが実際に進みやすいか」を見る。これが後の章(選択編)につながります。
2. 受け入れと有効牌 — どの牌で前に進むか
結論: 受け入れとは「引くとシャンテンが1つ進む牌(=有効牌)の種類と枚数」のことです。受け入れが広いほど、次のツモで手が進みやすくなります。
さきほどの1シャンテンの手( を切った後)を見てみます。
は で、 は で順子になります。つまり有効牌は 4種類(3p・6p・6s・9s)。各4枚あるので、受け入れは合計 16枚です。この「種類×枚数」が広いほど、テンパイが近づきます。
両面は 2種8枚、嵌張(カンチャン)・辺張(ペンチャン)は 1種4枚。両面は倍の受け入れがある。この差が「両面は強い」と言われる最初の理由です。形ごとの強さは次の章で詳しく扱います。
中級のポイント:受け入れ「枚数」だけでは決まらない要注意
受け入れ枚数は必要な物差しですが、それだけで打牌は決まりません。引いた後にどんな形へ育つか(二次受け入れ)、最終的な待ちが良いか、役や打点がつくかまで見て初めて正解が出ます。「受けは広いのに勝てない」の正体はここにあり、選択編で正面から扱います。
3. 門前手の基本形 — 4面子1雀頭と「役」
結論: 標準的な和了形は 4つの面子(メンツ)+1つの雀頭(アタマ)です。面子は「順子(234などの連番3枚)」か「刻子(同じ牌3枚)」。雀頭は同じ牌2枚。順子は数牌(マンズ・ピンズ・ソウズ)でしか作れず、字牌では作れません。
そしてもう一つ、麻雀で見落としがちな鉄則があります。
4面子1雀頭がそろっても、役が1つも無ければ和了できません。リーチ・タンヤオ・役牌・平和などが代表的な役です。そして、ドラは役ではありません。ドラは翻(点数)を増やしますが、ドラだけでは和了れません。この一点が、後の「打点」の考え方(打点と分岐編)で効いてきます。
なお標準形のほかに、七対子(対子7つ)と国士無双(么九字牌を集める)も独立した和了形です。これらへの分岐は打点と分岐編で扱います。
4. 5ブロック理論 — 手牌を5つのカタマリで見る
結論: 4面子1雀頭を作るということは、「面子候補・ターツ候補・雀頭候補を合わせて5つのカタマリ(ブロック)」を用意することです。14枚すべてを同時に見るのではなく、5つのブロックに分けて考えると、判断がぐっと軽くなります。
例として、この手牌を5ブロックに分けてみます。
- 面子① 面子② 面子③
- 雀頭 最後のターツ ( 待ち)
3つの面子+雀頭+両面ターツ=5ブロックがそろい、これはテンパイです。「あと / を引けば和了」と一目で分かります。迷ったときは 『自分のブロックは今いくつ?』 と数えてみると整理できます。
ブロックが6個以上あるなら1個多いので、いちばん弱いカタマリを払います。5個に満たないなら、新しいカタマリになりそうな牌を残します。この「多い/少ない」の調整は選択編で詳しく扱います。
5. 何切るツールの結果の読み方
ここまでの用語が分かれば、何切るツールの解析結果はぐっと読みやすくなります。ツールは各打牌候補を、次の3つの観点で並べます。
- 速度:受け入れの広さ・テンパイの近さ。「早くテンパイできるか」。
- 良形:最終的な待ちの良さ。「テンパイしたとき、良い待ちで構えられるか」。
- 打点:和了できたときの平均的な手の大きさ(役・ドラ・赤を反映)。
そして、この3つをバランスした総合1位を「推奨」として最上部に示します。3観点が別々に出るのは、「速いが安い」「遅いが高い」といったトレードオフを自分の目で比べられるようにするためです。正解は1つとは限りません。理由を読み比べると、理解が深まります。
何切るツールは相手のいない「一人麻雀」で、門前(鳴きなし)を前提に解析しています。放銃(振り込み)のリスクや相手の進行は含みません。打点は「和了できた場合の大きさ」の近似です。守りの判断は別の技術です。まずは「自分の手を最短・最良で育てる」練習に使えます。